特集 徒手理学療法
徒手理学療法の効果と限界
荒木 茂
1
Shigeru Araki
1
1石川県リハビリテーションセンター
pp.669-673
発行日 2010年8月15日
Published Date 2010/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101723
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はじめに
徒手理学療法の歴史は古く,「手で行う治療」という意味では理学療法士の行う治療のほとんどは徒手理学療法である.近年モビライゼーションとして紹介された手技は関節モビライゼーション,軟部組織モビライゼーション,神経系モビライゼーションなどに分類され,それぞれ対応する機能障害の治療として注目を浴びた.しかし,その効果を証明することは難しく,効果があるという文献もあればないという文献もあり,未だはっきりとした見解が出ているわけではない1).かつての神経生理学的アプローチと同様に新たな治療法に対する過剰な期待とその反動という歴史を繰り返しているように思える.徒手理学療法には多くの体系があり,またその技術の熟練度は個人差が大きく,ひとまとめに「徒手理学療法」として効果を論じたり,批評することはできない.
一方,徒手理学療法の効果については多くの症例報告がなされており,その一つ一つは事実であろうし,学術的な研究論文としてその効果が証明されていようがいまいが,臨床の現場では患者や理学療法士にとって有用であるからこそ,長年にわたり淘汰を繰り返し現在の手技に進歩してきたに違いない.さらに今後も理学療法士にとって重要な治療手技として発展していくだろう.
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