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特集 精神科作業療法の展望
院内作業療法の効果と限界
Effects and Limits of Occupational Therapy in Hospital
里村 恵子
1
keiko SATOMURA
1
1都立松沢病院
1Matsuzawa Hospital.
pp.311-318
発行日 1978年5月15日
Published Date 1978/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101679
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はじめに
作業療法を実践している者にとって,自分の行なっている治療の効果について,臨床的には,手ごたえを感じつつ,それを,自分自身や,他の作業療法士,あるいはチームを組んでいる他職種に,満足のいく,治療機序や治癒機転を,言語や文章で十分伝達できないことぐらい,残念なことはない.これは,多くの作業療法士が体験し,その解決は共通のテーマであると思う.難しいテーマを与えられ,力量不足を痛感しつつ,臨床経験を多少整理する試みが実行できれば,幸いである.諸家の文献を基礎に,狭く限られた経験ではあるが,考察を加えていきたい.
治療機序や,治癒機転について,小此木1)らは,図1に示す如く,定義している.この図の中で,精神療法のところに,作業療法を置きかえることができ,他の治療法に要求されると同じようなきびしい水準が求められなければ,真の治療としての確立は望めないであろう.
本稿では,「院内作業療法」を,治療の舞台を「病院」とし,対象を入院患者とする作業療法と一応定義することにする.病院での治療の役割は,単に入院患者のみでなく,地域にいるクライエントに対しても,地域にある各種の治療援助施設(保健所,精神衛生センター,デイ・ケア・センター等)とは,質的に違った役割が果せるのではないかと考えているが,今回は,入院治療を中心に進めたい.
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