入門講座 浮腫と理学療法・3
血管神経性浮腫と理学療法
中川 司
1
Tsukasa Nakagawa
1
1森ノ宮医療大学保健医療学部理学療法学科
pp.229-238
発行日 2010年3月15日
Published Date 2010/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101626
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はじめに
CRPS(complex regional pain syndrome;複合性局所疼痛症候群)は神経因性疼痛の代表的疾患であり,交感神経の過剰活動に起因する慢性痛,allodynia,hyperpathia,浮腫などを主徴とする疾患である.Mitchellが南北戦争時(1867年),causalgiaと報告して以来,Sudeck(1900年)はbone atrophy(骨萎縮),Evans(1946年)はRSD(reflex sympathetic dystrophy:反射性交感神経ジストロフィー)と命名するなど,本疾患には統一された定義,分類がなく,疾患概念に混乱がみられた.そのため,国際疼痛学会(IASP:International Association for the Study of Pain)は,1994年にCRPSという用語とともに改めて本疾患の定義,分類を提唱した1).
本稿では,CRPS type Ⅰ(旧症候名:RSD)を取り上げ,主要な症状である痛みと腫れを中心にその発生機序を紹介し,上肢・下肢の痛み―腫れ―関節可動域制限の理学療法を紹介する.
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