特集 脳卒中のゴール設定
理学療法臨床実習生に対する脳卒中のゴール設定指導
丹羽 義明
1
Yoshiaki Niwa
1
1九州労災病院リハビリテーション科
pp.131-136
発行日 2010年2月15日
Published Date 2010/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101604
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はじめに
2009年における全国の理学療法士養成校は237校を数え,1学年の学生定員は約13,000人にのぼる.学生全員が2~3施設で臨床実習を行うと想定すると,臨床実習指導が可能となる臨床経験3年以上の理学療法士であれば,臨床実習指導者(以下,実習指導者)となることは一般的である.臨床実習は,教育課程のなかで重要な科目の1つとして位置づけられると同時に,理学療法士を育成するうえでも臨床実習施設における指導は重要なものとなる.
2009年に九州労災病院(以下,当院)で臨床実習を行った12名の実習生にアンケート調査を実施した結果,脳卒中と運動器疾患との比較において,12名中11名が脳卒中の病態把握から治療計画の立案までの思考過程について,やや困難および非常に困難と回答し,その要因としてゴール設定(予後予測)と動作分析の困難性が示された.脳卒中片麻痺は一側の半身の運動麻痺という単純なものではなく,脳の可塑性に由来する機能変化や代償機能の出現,さらには高次脳機能障害を含めた複雑な病態を呈し,障害構造を捉えてゴール設定を行うには,多くの要素を包括的に捉えて思考する過程が必要となる.
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