特集 ICFと理学療法
[座談会]ICFを理学療法にどのように活かすか
高村 浩司
1
,
阿部 美雪
2
,
熊丸 めぐみ
3
,
吉尾 雅春
4
1甲府城南病院
2函館五稜郭病院
3群馬県立心臓血管センター
4千里リハビリテーション病院
pp.679-690
発行日 2009年8月15日
Published Date 2009/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101463
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吉尾 今日は,国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health:以下,ICF)を理学療法にどのように活かすかについて,皆さんと意見を交換していきたいと思います.もともとリハビリテーションの世界では,国際障害分類(International Classification of Impairments, Disabilities and Handicaps:以下,ICIDH)に基づいて仕事をしてきましたが,様々な問題点が指摘され,2001年にその改訂版としてICFが採択されました.しかし,ICIDHの「障害」という捉え方に馴染んで仕事をしてきた理学療法士にとっては,このICFの考え方が,臨床の場にも,教育の場にも,うまく馴染んでこなかったという印象があります.
例えば,今でも臨床実習に来る多くの学生たちは,ICIDHに基づいた教育を受けていて,患者さんの全体像よりもその障害にばかり注目した実習が展開されているような気がします.それは,患者さんを理解する上で,ある意味で便利な捉え方ではあるのでしょうが,臨床の中で仕事をしていると,そこにはいろいろな問題があることに気づきます.やはり,もう少しICFへの理解を深めて,それに基づいた臨床をしっかり展開していくことで,患者さんをもっとよい方向に導いていくことが可能なのではないかと思いますし,それによって私たちの生き方そのものにもよい影響が出てくるのではないかと思っています.
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