特集 筋再生と理学療法
筋再生と理学療法
望月 久
1
Mochizuki Hisashi
1
1文京学院大学保健医療技術学部理学療法学科
pp.567-574
発行日 2009年7月15日
Published Date 2009/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101442
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はじめに
筋の再生は,筋が何らかの原因で損傷した時に,損傷した部分を新たな筋線維で補い,筋機能を再建するための生体機構である.筋の損傷というと病的な状態を想像するが,筋線維レベルの微細な筋の損傷は通常の生活や運動でも生じており,筋の再生過程は筋の肥大や萎縮にも関連していることが明らかになりつつある1~3).
筋は理学療法と最も関わりのある生体組織であり,特に筋力増強や筋萎縮の予防・改善は,理学療法の目的として重要な位置を占めている.そのため,筋の再生現象についての理解は,より効果的な理学療法介入方法の選択や,新たな介入方法の開発に役立つと考えられる.本稿では,筋機能の発揮や維持に関する細胞・生体分子レベルのメカニズムについて触れた後,筋の発生および再生過程について概説する.そして,筋再生現象と理学療法との関わりについて,新たな筋力増強法や筋疾患の治療法の開発例を通して考えていきたい.
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