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I.緒 言
筋ジストロフィー症は進行性の遺伝性筋疾患であり,臨床症状は病型により異なるが,その悪性型ともいうべきDuchenne型(以後DMDと略す)は生後2,3年より発病し,10歳前後にはwheel chair boundとなり,15歳から20歳までには心肺疾患などの合併症により死亡するという悲惨な筋疾患である。本症の成因については過去にはvascular theory12,14,24),neurogenic theory33,34)が唱えられたが,現在ではこれらについては否定的7,37,47)となり,これに代わり筋膜31,36,48,50),赤血球膜47,60)などの膜系の異常に関する報告が集積されつつあり,本症の病因として注目を集めてきている。また以前は筋ジストロフィー症において筋再生はみられないとされていたが,その後,明らかに筋再生はみられるという報告18,41)がなされてきている。しかしこのような筋再生が本症において正常か否かは重要な課題でありながら,まだ一定の結論には至っていない。本稿においてはまず本症における筋再生についての報告をreviewし,今後の研究の課題,方法論的問題点を論ずるにあたりこの問題と密接な関係にある本症生検筋の筋細胞膜(muscle plasma membrane)異常について若干言及し,ついで本症における筋再生の今後の研究課題,その方法論的問題点などを,主に再生筋の膜系に焦点を合わせ論じたい。
Abstract
From a decade ago, the presence of muscle regeneration in human muscular dystrophy has been well known, although it has been uncertain whether the regeneration is normal or abortive. According to my recent investigation, the muscle satellite cell populations in DMD were more numerous than control and the peak of their populations was seen in the intermediate stage of DMD at which time the muscle weakness wors-ened rapidly. These findings suggest that muscle regeneration in DMD is incomplete.
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