特集 がん治療における理学療法の可能性と課題
がん治療における理学療法の役割
増田 芳之
1
Masuda Yoshiyuki
1
1静岡県立静岡がんセンターリハビリテーション科
pp.925-931
発行日 2008年11月15日
Published Date 2008/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101288
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はじめに
がん患者は年々増加しているが,がん治療の発展とともに,5年生存率も向上してきている.それに伴い,がん治療を行いながら日々生活している患者に対してリハビリテーション(以下,リハビリ)を適用するケースが増えており,近年では,がんのリハビリに対する種々の報告や研修会・勉強会などが散見されるようになった.
患者は,疾患を宣告されてからの精神的苦痛に始まり,がんという疾患自体の進行,がん性疼痛,嘔気,倦怠感,治療による様々な副作用,それらに伴う体力や活動性の低下,退院後の自宅での生活,社会復帰における問題,治癒,再発への不安のほかに,日々の状態の変化によって心理的影響を強く受ける.そのため,「がんのリハビリ」における理学療法の基本的な役割は,その身体的・心理的状態を十分に把握し,認識した上で,機能的・動作能力的な維持・改善と,意欲向上,患者自身のQOLの維持・向上,家族に対してのアプローチを行うことであると考える1~3).
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