特集2 これまでの10年とこれからの10年—理学療法の発展と課題と夢
緩和ケアと理学療法
増田 芳之
1
Yoshiyuki Masuda
1
1静岡がんセンターリハビリテーション科
キーワード:
緩和ケア
,
自律支援
,
人の権利の回復
Keyword:
緩和ケア
,
自律支援
,
人の権利の回復
pp.86-88
発行日 2016年1月15日
Published Date 2016/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200456
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本邦における緩和ケアとがんのリハビリテーションの歴史
本邦の緩和ケアは,1972年に淀川キリスト教病院で,終末期のがん患者に対して緩和ケアチームとして取り組んだことが始まりとされる.1977年に「日本死の臨床研究会」が立ち上がり,医師,看護師,関連職種が集まって終末期における臨床上の問題点を討議された.1981年に静岡県浜松市の聖隷三方原病院にホスピスが開設され,がん手術を受けた人がリンパ浮腫や排尿障害など治療の後遺症で日常生活が制限されていることに目が向けられ,患者本位のがん医療の考え方が検討されるようになった.1990年に厚生省(当時)により「緩和ケア病棟入院料」が新設され,1994年に病棟承認が厚生省から各都道府県に移行され,このころから緩和病棟数は増加していった.2006年度にはがん対策基本法が施行され,2012年にがん対策推進基本計画の一つとして「がんと診断された時からの緩和ケアの推進」が明記された.
がんのリハビリテーションとしての歴史はまだ浅く,2002年に静岡県立静岡がんセンターが緩和ケア病棟と同時に新設され,同時に,リハビリテーション科医師,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士を配備して,がん専門病院におけるリハビリテーション科が初めて標榜された.法的な整備としては,2010年度より「がん患者リハビリテーション料」が新設され,要綱として医師,看護師,リハビリテーション専門職のチーム参加とする「がんのリハビリテーション研修会」の受講が課せられ,がんのリハビリテーションに対応できるセラピストが急速に増えてきている1,2).
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