入門講座 実践―基本統計学のQ&A・2
例題から考える統計の基本―記述統計における理解のポイント
関屋 曻
1
,
高橋 正明
2
Sekiya Noboru
1
1昭和大学保健医療学部理学療法学科
2群馬パース大学理学療法学科
pp.687-693
発行日 2008年8月15日
Published Date 2008/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101238
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実験や調査を行って得られた測定値を生データ(raw data)と呼びますが,生データのままでは実験や調査の結果を理解したり他者に伝えたりすることが困難なことがほとんどです.得られたデータを整理・集約して,客観的かつ正確に,わかりやすく記述するための方法論を記述統計学と呼んでいます.記述統計学は“観察された集団”の統計的性質を記述することを主な目的とし,観察される集団は現実的で具体的な集団(例えば何年何月時点の日本の人口など)です.その特性の把握には主として大量観察が行われますが,もちろん少数データにも適用されます.統計学には記述統計のほかに推測統計があり,統計学というと推測統計学が中心であるかのように語られることがありますが,推測統計を行う場合でも,その前段階として記述統計学の方法を用いて生データを整理・集約することが必須です.これを軽視すると正しい理解が損なわれることがありますし,正確に情報を伝達することが困難となります.本稿では,記述統計学の方法論の中から,理学療法に関連の深い内容を取り上げて,できるだけわかりやすい解説を試みます.
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