入門講座 実践―基本統計学のQ&A・1【新連載】
例題から考える統計の基本―研究計画における統計理解のポイント
関屋 曻
1
,
高橋 正明
2
Sekiya Noboru
1
1昭和大学保健医療学部理学療法学科
2群馬パース大学理学療法学科
pp.599-605
発行日 2008年7月15日
Published Date 2008/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101218
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序論
統計処理用のコンピュータソフトが使いやすくなり,誰でもが簡単に統計処理を行える時代になりました.少し前までは,方眼紙に1つひとつのデータをプロットして散布図を作ったり,統計学テキストの数式を確認しながら電卓を片手に統計量を計算し,数表を見て判断したりすることが一般的なやり方でした.最近になってパソコンとアプリケーションソフトの普及で状況は一変しました.煩わしい計算もコンピュータを使うと瞬時に遂行でき,計算ミスをすることも少なく,たいへん効率的になりました(ソフトに誤りがなく,正しくプログラムを選択していればという条件付きですが).しかし,どんなに良いソフトウェアがあっても,変数間のどのような関係を示せば目的を果たせるのか,どの検定手法をどのように用いるかは各自が判断しなければなりません.この判断をするためには,ソフトウェアのマニュアルを読むだけでは不十分であり,数学的な理解が必要と思われます.しかし,数学的背景を十分に理解していることは望ましいに違いありませんが,完全に理解しようとすると膨大な労力と時間を要してしまいます.
本入門講座では研究報告を読み聞きしたり,研究のデザインを考えたり,あるいは実施された実験や調査を整理する時に必要になる統計処理について,多くの人がよく抱く疑問点を取り上げ,必要最低限の数学的理解と,手法の正しい選択について,できるだけわかりやすい解説を試みます.
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