特集 介護保険下の理学療法
介護予防と運動器の機能向上
大渕 修一
1
Obuchi Shuichi
1
1東京都老人総合研究所介護予防緊急対策室
pp.657-663
発行日 2008年8月15日
Published Date 2008/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101230
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はじめに
介護予防とは,高齢者が要介護状態に陥ることなく健康でいきいきとした生活を送れるように支援することである.また,既に要介護状態である場合に,重度化を予防することも介護予防である.介護予防は,2000年の介護保険法施行と同時に制度化され,実施されてきたが,2006年の介護保険法改正により,介護保険制度は予防重視型システムへと転換し,介護予防のさらなる推進が図られることとなった.
この制度改正により,高齢者人口が増加するペースを大きく上回っていた要介護認定者の増加数も,適正水準に向かっている.また,内閣府の策定した新健康フロンティア戦略の中でも,現在,高齢者の7人に1人を占める要介護者を,2014年までに10人に1人にするという具体的な数値目標を掲げており,一層の介護予防推進が国家的に図られることとなっている.理学療法士にとっては,医療の中心が病院から地域へと移行されつつあること,心身機能の低下を介入の対象とすることから,介護予防分野についても積極的な関わりが求められている.本稿では,介護予防の中でも理学療法との関わりが深い運動器の機能向上について概観する.
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