なぜ学ぶのか・3
病理学―病気やケガを理解するうえで不可欠な医学の中の科学
細 正博
1
Hoso Masahiro
1
1金沢大学医学部保健学科
pp.537-539
発行日 2008年6月15日
Published Date 2008/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101204
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まず風邪を病理学から考えてみる
風邪をひく,誰にでも経験のあることだろうと思います.鼻が詰まって鼻水が出たり,咳が止まらなかったり,熱が出て身体がだるくて寝込んでしまったりしますよね.でもそんな時,いったい自分の身体に何が起こっているのか考えてみたことがあるでしょうか.風邪だから鼻が詰まる,風邪だから咳が出る,風邪だから熱が出る,そんなの当たり前じゃないかと,何の疑問ももたず思っていないでしょうか.
一言で風邪と言っても,その状態はピンキリです.軽い風邪なら,暖かくして寝ていればそのうちいつの間にか治ってしまいますよね.やはりここでも考えてもらいたいのですが,ではどうして風邪が自然に治るのでしょうか.風邪なんて大したことない,しばらく我慢していればそのうち治る,そんなの当たり前じゃないかと,思っていないでしょうか.さらに,高熱が出るようだと心配になって,近くのドラッグストアで風邪薬を買って飲んだり,かかりつけのお医者さんの所に行って診てもらったりします.そこで晴れて「風邪」(あるいは「感冒」)の診断が付き,薬を出してもらったりすることになりますよね.お医者さんの薬はよく効くので,すぐに熱が下がって咳も止まって,そのままぐっすり寝たら,翌朝はすっきり(とはいかないかもしれませんが).さて,またまた繰り返しになるのですが,どうして薬が効くのでしょうか,薬で風邪が治せるのでしょうか.
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