書評
―山﨑裕司,山本淳一(編)―「リハビリテーション効果を最大限に引き出すコツ―応用行動分析で運動療法とADL訓練は変わる」
網本 和
1
1首都大学東京健康福祉学部理学療法学科
pp.532
発行日 2008年6月15日
Published Date 2008/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101202
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
理学療法士あるいは作業療法士は,患者の状態を評価し,最適(と思われる)治療プログラムを作成し,これを提案して進めていく.ところが臨床ではしばしば,患者からの「これはとても無理です,できません」などの反応に遭遇し,困ったわれわれはこうつぶやく.「困った患者だな」と.治療プログラムがうまく進まないのは,患者の態度が悪いからであり,やる気がないからであり,病気が重いからであり,セラピストの教え方が下手で,プログラムそのものに欠陥がある,とは考えない.治療者―患者関係という医療情報に関する圧倒的不公平な状況では,これが普通である.もし読者が「困った原因はセラピストにある」という認識を持つ方なら,本書の内容の核心部分は理解したも同然であり,その場合立ち読みでもかまわない.しかし「困った患者(困っている患者ではなく)だな」と思ったことが一度でもあるセラピストであれば,本書を熟読することで明日からその「行動」が変化するに違いない.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.