Japanese
English
総説
Stroke care unit(SCU)の意義
Clinical Significance of Stroke Care Unit
酒井 秀樹
1
,
永田 泉
1
Hideki Sakai
1
,
Izumi Nagata
1
1国立循環器病センター脳神経外科
1Department of Neurosurgery, National Cardio-Vascular Center
キーワード:
brain attack
,
stroke care unit
,
strokologist
,
thrombolysis
Keyword:
brain attack
,
stroke care unit
,
strokologist
,
thrombolysis
pp.373-378
発行日 2000年5月1日
Published Date 2000/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901590
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はじめに
わが国をはじめとする先進諸国において,脳血管障害は国民死因の2〜3位に位置し,依然として頻度が高くかつ重篤な疾患群である。わが国においても,脳卒中は要介護性疾患の首位を占める疾患であり,寝たきり老人の約4割,訪問看護利用者の約4割が脳卒中患者であると言われている。また,わが国の全医療費の1割弱が脳卒中に費やされており,その総額は年間1兆8千億円にのぼると推定される。しかも,人口の急速な高齢化に伴い,今後さらに脳卒中患者数は増加することが予想されている。このように先進各国にとって,まさしく国民病とも言える脳卒中であるが,今までに有効な根本的治療がなかったが故に脳卒中は「シンデレラ病」などと比喩され,永きにわたりその診療体制が未整備のままであった12,13)。
ところが1990年代になり,脳卒中診療は急速に様変わりをしはじめた。先進諸国の脳卒中協会や財団などの動きが活発化するに伴い,欧米を中心に脳卒中が重要な救急疾患と位置づけられ,その超急性期治療の重要性が認識されるようになってきた。また,この頃からヨーロッパにおけるいくつかの報告により,早期死亡率の低下・入院期間短縮や機能予後の改善など多くの点に関して,脳卒中専門病棟での脳卒中診療が一般混合病棟での治療よりも優れていることが明らかにされるようになった5,7,10,17,18)。
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