臨床実習サブノート 知っておきたい理学療法評価のポイント・2
回復期の脳血管障害患者を担当した時
吉尾 雅春
1
Yoshio Masaharu
1
1千里リハビリテーション病院
pp.449-455
発行日 2008年5月15日
Published Date 2008/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101185
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はじめに
脳血管障害によって起こる運動系や感覚系などの問題や可能性をどのように評価するか,表出される高次脳機能障害をどのように理解するか,これらは理学療法士にとって難しい課題である.まして,ほとんど臨床経験を持たない学生や新人理学療法士には,中枢神経障害患者の評価は五里霧中の手続き行為になっている.客観的評価を行う上で必要なことは,基準や評価尺度の活用であり,用いることばにも明確な定義が存在しなければならない.それらが極めて曖昧な中枢神経系領域の中で,果たして客観的に評価することは可能なのだろうか.運動療法やADL練習は,評価や動作分析の結果として提供されることが原則であり,理学療法評価システムの確立が求められる.
また,脳血管障害を対象とした回復期リハビリテーション病棟の存在意義は「生活」の仕方を学ぶ場であり,単に機能障害や能力障害を評価し,アプローチするだけではその解決は難しい.人間としての個人に,また,それを取り巻く環境にも注目し,チームとして多角的に評価を行うことが大切である.
以上のような観点から,本稿では,回復期の脳血管障害患者の評価を行う時のポイントや注意点を述べる.なお,急性期脳血管障害患者の評価について解説された前号との重複は避けるので,見落としのないように配意いただきたい.
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