講座 「複雑系」と理学療法・1【新連載】
複雑系科学と理学療法の関わり
久保 雅義
1
Kubo Masayoshi
1
1新潟医療福祉大学医療技術学部理学療法学科
pp.853-859
発行日 2007年10月15日
Published Date 2007/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101045
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
今回のテーマである「複雑系の科学と理学療法」は,おそらく「月とスッポン」(別に理学療法がスッポンという意図ではありません)と同じ程度か,あるいはそれ以上に共通点のないもののように思えます.一方が散逸構造理論1)とかカタストロフィー理論2)というようなまったく生活感のないものであるのに対し,理学療法では片麻痺患者のいすからの立ち上がり練習というように,まさに生活感あふれる日常を対象としており,その間にとても関係があるようには思えません.しかし,17世紀生まれのニュートン力学がバイオメカニクスの基礎となり,現在の理学療法が大いにその恩恵を受けていることを考えると,21世紀の科学ともいえる複雑系の科学がいつの日か理学療法に寄与する可能性がないとはいえません.本稿では複雑系の科学のトピックスのうちいくつかに触れ,それらの考え方が遠い将来にではなく,既に現在の理学療法を支える概念において影響をみせはじめているという視点から進めていきたいと思います.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.