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はじめに
昭和41年に日本理学療法士協会(以下,本会と略す)が発足してから平成10年で32年が経過し,会員も1万8,000名に達している.
理学療法士の教育は当初3年制の専門学校で行われており,最近では4年制大学も順次開設され平成10年度には13校となっている.更に大学院(修士・博士課程)も設置され,専門領域はもちろん基礎領域についても,理学療法を科学的に検証する基盤も徐々に整備されつつある.
本会の設立当時は会員も少なかったため,具体的な卒後教育のシステムはなく,会員の自己研鑽や自助努力によるところが大であった.しかし,ここ数年来の理学療法士養成校や定員の急増により,新人会員が毎年3,000人近くの割合で増加するのは必至の情勢となっている.本会では,この急激な組織の巨大化と会員の年代構成比率のアンバランスによって新たな問題が生ずることを懸念している.すなわち,過去には希少価値も手伝って理学療法士の免許取得者であるというだけで,本人の「在り方」はそれほど問われることもなく過ごすことができたが,今後は期待される専門職として自ら強い問いかけを行わなければならない時代になっている.
本会の基本目的は,「理学療法士の人格,倫理及び学術技能を研鑽し,わが国の理学療法の普及向上を図るとともに,国民保健の発展に寄与する」ことである.そのためには,理学療法自体をあらゆる側面から専門職(プロフェッション)として高める必要がある.そこで本会としては,会員の知識や技術において一層の向上を図り,国民の医療・リハビリテーション向上に寄与するという目的で,系統的な卒後教育の一環として生涯学習システムを構築することとなった1).
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