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はじめに
欧米先進国においては,理学療法士(PT)の職能団体が組織され,養成のための教育が始ったのは1910年代から1920年代にかけてである.
1963年に理学療法士(PT),作業療法士(OT)の教育が始まったわが国は,欧米諸国に40~50年のおくれをとったことになる.日本理学療法士協会(以下PT協会という)は,1966年に創立されてから,わが国のPTの職能団体としてスタートした.
しかしながら,PT協会発足以後の約20年間のわが国のリハビリテーション医療と理学療法分野における進歩と発展はめざましいものがあった.進歩と発展の渦中にある者にとってその著しい変化を客観的に認識し,実感することはむしろ困難であるが,外部から訪れた者には,この20年間の変化は目を見張らせるものがあるようだ.
わが国で,最初に開設された国立療養所東京病院附属リハビリテーション学院(清瀬市)で創設期の教育にあたったアメリカ人PTのTali Conineと同じくOTのJanet Hirataの両氏が20年振りに来日して,同学院の創立20,周年記念講演会において,わが国のPT,OTの量的増加とリハビリテーション医療の発展について,20年前と比較してその大きな変貌振りにショックを受けるほどの驚きを感じたと述懐していた.
わが国のお家芸といわれることだが,科学技術の分野で,欧米先進国から知識,技術を導入して,物真似から始って,それを自家薬籠中のものにしてしまう能力は,他の国にはとても真似のできない芸当のようだ.
理学療法分野においても,先進国において開発された技術をいち早く採り入れて普及してゆくスピードは諸外国の追従をゆるさないものがある.
PT協会のあゆみも,例外ではなく,その会員数の増加振りは諸外国と比較してみると,その急増は驚異のようだ(表1).
発展途上国のPT協会の会員数は二桁から三桁にすぎないところが殆んどであるが,それらの国とPTの養成教育が殆んど同じ頃にスタートしたのにもかかわらず,わがPT協会は3144名の会員をかかえて4桁になっている.そしてPT養成校の急増振りも国際的にみると信じられないほどのスピードであり,その数はアメリカ,西独に次いで,世界で第3位であるが,近い将来,第2位を占めるのは確実である.
1974年,第7回世界理学療法連盟に正式加盟が認められ,8年後の1982年の第9回世界理学療法連盟の総会において,理事国に選出されることになったが,この背景には,やはりわがPT協会の高度成長とその実績によるものとが考えられる.
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