書評
―奈良 勲・内山 靖(編)―「理学療法のとらえかたPART4―Clinical Reasoning」
大橋 ゆかり
1
1茨城県立医療大学
pp.654
発行日 2007年8月15日
Published Date 2007/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101001
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『理学療法のとらえかた―Clinical Reasoning』シリーズは2001年に初巻が刊行されて以来,2年おきに“PART2”,“PART3”が刊行され,今回“PART4”の刊行となった.本シリーズは,1巻につき29~30の独立したテーマを取り上げた完全オムニバス形式の本である.“PART4”も同様の形式で書かれており,昼休みに「今日のテーマとしてこの1章」というスタイルでも読み進んでいける.
本シリーズは副題にもなっている「Clinical Reasoning(臨床的推論)」を触発し,エビデンスの高い治療を提供できる理学療法士を育てようという生涯学習の理念のもとに編集されてきた.これまでに取り上げられたテーマは118章に及び,テーマは巻を重ねるに伴い広く・新しく,あるいは深くなってきている.“PART4”では,終末期医療や臓器移植への理学療法士の関わりといった新しい分野に関するテーマが取り上げられる一方,膝の臨床運動学や腰痛症のメカニズムなどの基本的なテーマが掘り下げられている.その他にも,生活習慣病や介護保険などの今日的なテーマ,バーチャルリアリティやアフォーダンスなどの広範なテーマが理学療法士の視点から論じられる.また,様々な臨床的なテーマと並列に,OSCE(客観的臨床能力試験),PBL(問題解決型学習),シングルケースデザインといった教育・研究領域のテーマが取り上られていることも特徴である.
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