書評
―光野有次・吉川和徳(著)―「シーティング入門―座位姿勢評価から車いす適合調整まで」
廣瀬 秀行
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1国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所福祉機器開発部
pp.646
発行日 2007年8月15日
Published Date 2007/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100999
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介護予防は車いすを否定している.しかし,現実は車いすを長時間使用する多くの高齢者がおり,褥瘡発生や生活の困難,そして身体拘束など多くの問題が起きている.しっかりと座位姿勢を考えなければならない方がいる.それについての基本的考えとその対応方法について,日本シーティングコンサルタント協会現理事長の吉川氏と車いす姿勢保持協会(現・車いすシーティング協会)前理事長光野氏が執筆した.シーティングの論客がそろったわけである.この本の特徴は要点を明確に記述していることであり,その点ではシーティングを行う際に,そばに置いておくことを推奨する.
第1部では,高齢者を中心に介護保険制度を念頭に,車いすおよび座位保持装置の評価および選択が解説され,ICFから始まり,介護保険制度の現状とその問題点を指摘している.この中で福祉用具の位置づけを主張し,福祉用具決定過程での現制度に基づいた各専門職の役割を明示している.次に,座位評価から車いす選択や適合評価のプロセスを解説している.特に,車いす使用者スクリーニング用紙はぜひ,ケアマネジャーに使用していただきたいものである.最後に,座位評価の内容を一般情報,変形での考慮点,そしてマット評価について簡潔に解説している.
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