書評
―奈良勲(編)―理学療法のとらえかた Clinical Reasoning
嶋田 智明
1
1神戸大学医学部保健学科
pp.849
発行日 2001年11月15日
Published Date 2001/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105932
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診療行為を科学的に検証する動きは,1970年代よりアメリカで統計学を基礎に発展した.さらに定量的に医療従事者が行う診療の意思決定分析のプロセスを検証する手法が開発された.すなわち,医療従事者の勘や経験に基づいているとされる診療がどのような定量的評価にあるかを検証してきたのである.これは他流試合を通しての医療従事者の臨床能力を向上させようという動きでもあった.
その一つ,Clinical Reasoning(クリニカル・リーズニング:臨床的推論)は多くの医学的情報を収集・分析し,これを解釈・統合することで最終的に安全で合理的かつ効果的な診療行為に至るための臨床実践の基盤となる洞察プロセスであると考えられる.これは何の疑問もなく受け入れられている一般的な理論や手技を応用する際の危険性を軽減するのに役立つ.またこの理論は,臨床所見と医学的知識,およびそれぞれから出てくる判断や治療における誤りを是正するのに重要であり,きちっとした臨床的推論を欠く臨床実践は単なる技術的な作業といっても過言ではない.
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