特集 脳性麻痺児の理学療法
脳性麻痺の評価とアプローチ
新田 收
1
Nitta Osamu
1
1首都大学東京健康福祉学部
pp.531-536
発行日 2007年7月15日
Published Date 2007/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100981
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脳性麻痺理学療法に関する近年の報告
まず,脳性麻痺に対するアプローチについて,最近の報告をいくつか紹介する.柴田ら1)は,脳性麻痺児に対する入院・多職種治療の効果について次のように報告している.入院時平均年齢は4歳(0~11歳),入院期間は平均4か月(2~7か月)であった.評価は日本語版粗大運動尺度(GMFM)を用い,入院時と退院時の2回行った.この結果,GMFM総合得点は平均7.9%増加し,個々の粗大運動発達曲線に比べて急激に向上していた.この報告において,理学療法の関わりは,週5日の個別療法と週1回の集団療法が行われていた.同様の報告を朝貝ら2)も行っている.報告では0~8歳の脳性麻痺児を対象とした平均2か月の入院集中トレーニングを行った結果,GMFM総合得点が平均3.7%増加したとしている.ただし退院後,通院期間中に減少するケースがあり,効果を維持するためには,適切な時期に間欠的な入院を繰り返す,運動レベルを日常で行えるレベルまで高めるなどが必要としている.
これらの報告は,脳性麻痺児に対するアプローチの効果について述べている.ただし,一定期限内で多職種が集中してアプローチした場合の限定的な結果をまとめたものである.こうした報告は尊重されるべきだが,今なお効果に関する研究が続けられている状況は,一般的に受け入れられる明快な回答が得られていない結果とも考えられる.脳性麻痺児に対するアプローチ効果については,これまでに長い議論の歴史があった.いくつかわが国の報告を紹介する.
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