特集 脳性麻痺児の理学療法
脳性麻痺児の筋骨格系障害の評価とアプローチ
大畑 光司
1
,
市橋 則明
1
Ohata Koji
1
1京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻理学療法学講座
pp.547-555
発行日 2007年7月15日
Published Date 2007/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100983
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はじめに
脳性麻痺は,「発達初期に生じた脳損傷もしくは異常により二次的に生じる非進行性であるが変化しうる運動障害症候群の包括的用語」1)と定義されている.換言すると,発達期に生じた脳損傷・異常に基づく運動障害の総称(進行性の疾患は除外される)であるということができる.脳損傷により生じる上位運動ニューロン障害は,異常(過剰)な反応による陽性徴候と,機能の欠損や低下を意味する陰性徴候に大別される(表1)2).陽性徴候は下位運動ニューロンへの抑制の欠如,陰性徴候は下位運動ニューロンへの出力の低下により生じる.痙性麻痺や反射の亢進,クローヌスなどは陽性徴候の代表であり,筋力低下,選択的運動制御障害などは陰性徴候の代表である.脳性麻痺児の運動障害における陽性徴候,陰性徴候についての認識は,この10年の間に劇的に変化してきた.
本稿では,脳性麻痺児の筋骨格系に生じる問題点を概観し,その中で筆者らが行っている研究を紹介する.また,現時点での脳性麻痺児の筋骨格系に対するアプローチの医学的根拠を示し,同時に症例を提示する.
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