特集 介護保険対応の理学療法
介護老人保健施設における理学療法
野島 由紀
1
,
井出 篤嗣
1
,
伊佐 美由紀
1
,
今吉 晃
1
,
遠藤 美帆
1
Nojima Yuki
1
1横浜市立脳血管医療センターリハビリテーション部
pp.951-959
発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100916
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介護老人保健施設(以下,老健)は,「医療と介護を一体的総合的に提供し,家庭復帰を目指し,在宅ケア支援を重要な柱として,地域とともに,来るべき超高齢社会に対応できる」施設として運営されてきた1).また,老健は,入院医療を終了したが,在宅生活へ復帰することが困難な高齢者に対して,家庭に復帰するのか施設に入所するのかを評価し支援する中間施設の役割を果たしていた.
公的介護保険制度の発足とともに老健では,事実上,入所期間の縛りがなくなり,入所が長期化している.また,老健から家庭への在宅復帰率も下がる一方である2,3).全国老人保健施設協会(以下,全老健)が実施したアンケート調査によれば,これらの原因として,介護の重度化(特に痴呆),介護にあたる家族の精神的・肉体的負担感,一人暮らしや高齢者のみの世帯,本人・家族の安心感,住環境の問題(階段や借家など),施設の割安感などがあげられている4).要介護高齢者に対する在宅ケアサービスが質と量の両面で不十分なこと,特別養護老人ホームや療養型病床群が不足していること,それらへの入所・入院希望者が増加していることなどにより,老健がそれらへの待機施設として利用されていることなども要因として考えられる.
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