特集 病棟理学療法の視点と実践
介護老人保健施設における居室理学療法
山本 貴一
1
Yamamoto Kiichi
1
1羽生市医師会立介護老人保健施設カノープス☆羽生リハビリテーション課
pp.647-653
発行日 2007年8月15日
Published Date 2007/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101000
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はじめに
介護老人保健施設(以下,老健)は,「総合的・包括的ケアサービス施設」,「リハビリテーション施設」,「在宅復帰施設」,「在宅ケア支援施設」,「地域に根ざした施設」の5つの役割・機能を有しており1,2),維持期リハビリテーションを中心とした生活の自立促進と在宅での生活支援の場といえる.しかし,現状では軽度の要介護者であっても在宅での生活は難しく,施設を転々とし,在宅復帰できないことがある2).現在の老健では,事実上,入所期間の制限がないため,入所が長期化していることもその一因であろう.そのような状況ではあるが,われわれ理学療法士が老健での関わりとして生活の自立支援をしていくことには変わりない.
2003(平成15)年度の介護報酬の改定により,「リハビリテーションは,患者の生活機能の改善等を目的とする理学療法,作業療法,言語聴覚療法等により構成され,いずれも実用的な日常生活における諸活動の自立性の向上を目的として行われるものである(平成12年老企第58号)」3)と規定され,生活機能を実生活(自宅・居室などの)の中で「実用的」に行うことが示された.在宅での生活でも,施設入所での生活でも,生活環境の違いがあっても,その「人」が生活していくことには変わらず,生活機能向上を目指すことの意義は同じである.
本稿では,老健でのリハビリテーションの実際について述べていく.
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