ひろば
片麻痺手指への新たな促通法
川平 和美
1
Kawahira Kazumi
1
1鹿児島大学医学部リハビリテーション医学講座
pp.516
発行日 2003年6月1日
Published Date 2003/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100837
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脳の可塑性の発現や神経路の形成は,神経路の使用頻度に依存しており1),中枢性麻痺の回復には意図した運動の実現と反復が重要である2,3).しかし,片麻痺手指については個々の指への促通法が少なく,治療上の大きな障害になっているが,筆者は片麻痺手指の屈伸を誘発する効果的な手法を開発したので3),いくつかを紹介する.操作が容易な手指ブルンストロームステージⅣ以上の例にまず試みていただきたい.
1)片麻痺手指の運動誘発には伸張反射を用いる(①手指の伸展誘発は手関節の掌屈や指関節を素早く屈曲させ,②手指の屈曲誘発は手関節の背屈や指関節を素早く伸展させる).2)誘発した運動の持続は,動筋を弛緩させない軽い抵抗(治療者の指が麻痺手の指先に触れているだけ)と,手指の遠位部と近位部の伸展と屈曲の組み合わせを用いる(①手指の伸展時は伸展をDIP,PIP,MPの順に末梢から許し,同時に手関節の掌屈を,②手指の屈曲時は末梢から順に屈曲を許し,同時に手関節の背屈を併用する).3)同一の運動を反復し,その運動に関連した神経路を強化する.
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