特集 脳卒中片麻痺患者の歩行
半側空間無視を有する脳卒中片麻痺患者の歩行能力―実用移動能力と歩行練習到達レベルの比較
北里 堅二
1
,
入江 泰子
1
,
赤星 智美
1
,
金子 真一
1
Kitazato Kenji
1
1菊南病院理学療法科
pp.29-34
発行日 2003年1月1日
Published Date 2003/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100762
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脳卒中片麻痺患者の移動能力に影響を及ぼす因子についての研究は数多くある.近藤ら1)は,脳卒中片麻痺患者の移動能力の到達段階に影響を与える要因として,以下の4項目をあげている.つまり, 1)年齢,既存疾患などの背景因子, 2)運動麻痺,感覚障害,意識障害および高次脳機能障害などの障害の重症度, 3)廃用性障害,転倒・骨折などの,回復過程で付随して起こってくる問題, 4)理学療法アプローチ法を含む医学的管理に関わる問題,である.
これらの中で,高次脳機能障害に関しては,脳卒中片麻痺患者の機能予後やリハビリテーション遂行上の阻害因子として十分認識はされている2,3)ものの,理学療法的アプローチが体系化されているとは言いがたい.高次脳機能障害の中で,左脳障害の失語症とともに高頻度に出現する右脳障害の半側空間無視においても例外とは言えず,試行錯誤の中から徐々にいくつかのアプローチ法が生まれつつある状況といえよう.
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