短報
3m歩行テストを用いた高齢障害者の移動能力評価の検討
今村 純子
1
,
星 文彦
2
,
塩野谷 千恵子
1
,
長井 豊貴
3
Imamura Junko
1
1医療法人勉仁会東小樽病院リハビリテーション科
2東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科
3介護老人保健施設ラポール東小樽リハビリテーション課
pp.577-579
発行日 2004年7月1日
Published Date 2004/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100522
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歩行は移動手段のひとつであり,その障害により発生する日常生活の制限が個人に与える影響は大きい.高齢者では歩行速度が日常生活のよい指標になる1)とされているが,実際に生活する家屋内,居室などにおいて,一般的に行われている10m距離での歩行テストを行うことは容易ではない.Worsfordら2)は,高齢者の歩行テストについて,機能的に必要な距離を安全に移動できることが重要であるとし,3m歩行テストの標準化と家屋内のテスト環境について調査している.しかし,一般家屋などで確保できる歩行距離として3mを選択した場合,臨床的に多く用いられている10m歩行との間に速度について,どのような違いが生じるのかを検討した報告はみられない.
一方,日常の移動動作は,直線を歩くだけではなく,目的に応じて歩きながら体の向きを変えたり,歩いて椅子に座るといったように,動作が連続的につながって行われている.中村ら3,4)は,動作の連続性について動作の連合として,連続動作,結合動作,同時動作,複合動作に区分している.星5)は,3m椅子間歩行による動作の連合からみた動作パターン分析や動作時間計測は,高度なバランス能力や実用的な移動能力を評価できると同時に,日常の立位生活状況を推測することができる機能評価として有用であることを示唆している.
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