文献抄録
不全脊髄損傷者のトレッドミル歩行:1.速度変化への適応
大塚 圭
1
1藤田保健衛生大学病院リハビリテーション部
pp.74
発行日 2004年1月1日
Published Date 2004/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100411
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不全運動麻痺を伴った脊髄損傷(SCI)者の一部は,歩行するために十分な残存した感覚,運動機能を有しているものの,歩行速度は低下し,歩行パターンは健常者と異なることが多い.本研究の主な目的は,健常成人およびSCI者で異なったトレッドミル歩行速度への歩行パターンの適合を測定し,両グループが適応に至る過程が同様か否かを判定することである.
・方法:対象は,ASIAでDレベルの不全SCI者(男性6名・女性1名;16~46歳)と健常成人男性7名(28~40歳)とした.被験者に手すりの保持を許可したトレッドミル歩行を行わせ,時間因子,運動学および筋電図データを計測した.足部接地の信号は,フットスイッチを使用し記録した.歩行速度は,健常成人では0.1から0.7m/sそして1.0m/s,SCI者では0.1m/sから0.1m/sごとに増加させ最大限の速度までとした.被検筋は,前脛骨筋(TA),ひらめ筋(SO),半腱様筋(MH)と大腿直筋(VL)とした.運動学因子は,反射マーカーを第5中足骨頭,踵骨側面,外果,膝関節線と大転子(GT)上に装着し,約90度で配置した2つの60HzのCCDビデオ・カメラ(パナソニック5100)で撮影し,VHSビデオレコーダー(パナソニックAG-7350)に記録し,さらにPeak Performance;三次元運動分析システム(バージョン5.1)を使用し,矢状面上の股,膝,足関節角度を算出した.
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