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一般病院や整形外科クリニックの外来では,疼痛に対する理学療法の割合が高い.このような疾患に対して,通常は物理療法,運動療法,そして徒手的な療法として関節モビライゼーションや筋・筋膜への治療手技を用いることが多い.1日18単位という限られた診療点数の中で,多くの患者の治療をしなければならない状況では,個別と集団療法を組み合わせて,ややもすればパターン化した治療プログラムで数をこなしている現状があると思われる.そして,よく聞かれることは,患者からは「リハビリするとそのときは楽になるけれど,直にまた痛くなるんです!」という声であり,理学療法士からは「慢性的な痛みに対していつプログラムを終了すればよいのでしょうか?」というため息混じりの疑問である.加齢による神経筋骨格系の痛みを伴う変性疾患では,症状や経過に応じた効果的でかつ効率的な理学療法が求められている.それは,疾患名(診断名)ではなく,個々の機能異常(dysfunction)に対応した,物理療法,運動療法,徒手療法,そして日常生活活動の指導も含めた教育が一体となった包括的アプローチである.ここでは,その中でも徒手的な治療手技と運動療法を統合した「徒手的運動療法」に焦点を当てる.
徒手的運動療法とは
1.理学療法における徒手的運動療法
医学的リハビリテーションでは機能の維持・改善・増強を主眼とした機能的アプローチが主流であり,理学療法においては主に運動機能に焦点を当てて治療が行われている1).理学療法における機能的アプローチは,自動的・他動的関節可動域運動や運動療法,歩行練習,漸増的抵抗運動,物理療法などの伝統的な理学療法と,神経生理学的な抑制と促通の理論からなるRoodやBobath,Knott,Brunnstromらの治療体系がある1).
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