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レーザーの定義と開発
レーザー(LASER)という用語は,「放射の誘導放出による光の増幅作用(Light Amplification by Stimulated Emission Radiation)」の頭文字をとって命名された.この作用によって発振した光をレーザー光線と呼んでいる.この作用は自然に起こるのではなく人間が誘導するので,レーザーは人工的な光である.レーザーの開発は,1916年にアインシュタインが誘導放出という概念を提案したことに端を発し,その後1954年,タウンズがマイクロ波を人工的に増幅したメーザー(MASER:Microwave Amplification by Stimulated Emission of Radiation)を開発し,レーザー開発に先鞭をつけた.その後,バゾフ,プロコロフ,ショーロウらのメーザーおよびレーザーの研究開発が続いた.1960年にメイマンが合成ルビーを用いてレーザー光を発振する技術を開発し,レーザーの各分野への実用化の草分けとなった.
現在では,炭酸ガス,YAG,アルゴン,He-Ne,GaAsなどを媒介としたレーザーがある.これらのレーザーは情報通信や様々な電子機器,精密機械の開発に利用されている.医療の分野では外科,眼科,歯科,理学療法科などで利用されている.レーザーは,熱反応を引き起こす高出力レーザー(60mW以上;炭酸ガス,YAG,アルゴンレーザー)と熱反応をほとんどもたらさない低出力レーザー(コールドレーザー:60mW未満;He-Ne,GaAsレーザー)に分けられている.医療界では,高出力レーザーは主に外科・眼科でレーザーメス・網膜の着床などに用いられ,低出力レーザーは歯科や理学療法で鎮痛・消炎などに用いられている.
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