特集 臨床実習教育
臨床実習教育の変遷と展望
小川 克巳
1
Ogawa Katsumi
1
1熊本リハビリテーション学院 教育部
pp.5-11
発行日 2006年1月1日
Published Date 2006/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100232
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はじめに
今年度も間もなく28週間という長きにわたる臨床実習(総合実習)の全日程を終了した学生が学院へと戻ってくる.臨床実習を終えた学生はひと回りもふた回りもそれらしく成長し,その1人ひとりの成長ぶりを目の当たりにすることが,われわれ指導する側にとって大きな喜びの1つでもある.ただ,そのように大きな変化を起こさせる臨床実習という場面に,学院職員が直接的に関わる機会が少ないという現実に対してはいささかの物足りなさと共に寂しさも感じる.
教育とは,「人間に他から意図を持って働きかけ,望ましい姿に変化させ,価値を実現する活動」(広辞苑)であり,指導とは,「児童・生徒を生活に適応させ,望ましい発達を可能にするための教育活動」(広辞苑)であるとされる.理学療法士養成に関わる者の1人として,「望ましい姿」や実現したい「価値」を自分自身の中に明確に持ちつつ,学生と向き合うことの大切さと難しさを改めて思う.
さて今回,理学療法士養成課程における最終段階であり,後々のその学生の理学療法士としての基本的スタンスを決定づけると言っても過言ではない臨床実習教育について,その変遷と展望を述べる機会をいただいた.臨床実習教育のこれまでの流れを振り返りつつ,理学療法(士)を取り巻く課題などについても触れた上で,今後の展望を述べさせていただく.
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