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高齢社会に突入した現在,骨粗鬆症に伴う胸腰椎々体圧潰に起因する遅発性神経麻痺の報告がしばしば見られる1~6).治療法としては安静臥位,装具などの保存治療7~11)あるいは,椎体固定術などの観血的治療が選択される.近年,椎体圧潰に続発する遅発性神経麻痺の中でも,骨折椎体の圧潰進行とともに生じた椎体後方部分の脊椎管内陥入と椎体壊死による不安定性を伴う後弯変形の増強の見られる症例では,保存療法にも限界があり,低侵襲かつリスクの低い観血的治療が要求されている.よって,これらの術式に応じた理学療法の内容および目標も変化してきているのが現状である.また,高齢者は下肢筋力や深部覚の低下12)が見られ,安静臥位が継続すると二次的な合併症の発生がよりいっそう高くなる.近年では高齢者に対する脊椎圧潰のクリティカルパスを利用している施設13)もあり,当院においても日常生活動作(以下ADL)の早期自立に向けた早期理学療法を促している.本稿では,当院における自験例から遅発性神経麻痺を呈した脊椎圧潰の観血的治療および術後の具体的なプログラム内容を交え,早期理学療法の取り組みを述べる.
骨粗鬆症性椎体圧潰の病態
高齢者における椎体圧潰は骨粗鬆症が要因の一つであり,骨腫瘍や循環障害などの症候性から起こることもあるが,原発性が主と考えられている.70歳以上の骨粗鬆症例では44%に圧潰が生じており14),高齢者の脊椎々体圧潰は骨密度の低下とともにその頻度が増加している.遅発性の脊髄麻痺を合併する圧潰も骨密度が低下している症例が多いことから,脊椎圧潰は骨粗鬆症の程度と密接な関係にある15).脊椎骨粗鬆症の単純X線分類にはSavilleの分類や慈大式分類などが通常用いられる(図1).またNakanoら16)は骨粗鬆症性脊椎骨折を,椎体後壁損傷の程度や受傷後の経過時間から5段階に分類し,治療予後の判定と治療法について論じている.
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