絵で見る免疫学 基礎編・33
補体(4)
高木 淳
1
,
玉井 一
2
1ダイナボット(株)器機診断薬事業部
2栄光病院
pp.854-855
発行日 2002年9月1日
Published Date 2002/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906295
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CRPとMBLの補体への協力
炎症局所での補体反応により小さな断片C5aが産生され,血管内のマクロファージや好中球が活性化される(本誌第30巻8号本欄,図-②).活性化されたマクロファージはIL-1やIL-6などのサイトカインを分泌し,急性期反応を誘導する.急性期反応とは,細菌感染による炎症反応において,肝臓における血中蛋白の合成に変化を来たし,非特異的な防御機構によって直ちに宿主を保護する働きを指す.よく知られているのは,2つの急性期蛋白,CRP(C反応性蛋白,C-reactive protein)とMBL(マンナン結合レクチン,mannan-binding lectin)の産生である.CRPはある種の細菌膜に共通に存在するリポ蛋白のホスホリルコリンに結合する.CRPが細菌に結合すると,オプソニン化の促進のみならず,CRPはClqのコラーゲン部分(球形の頭部ではなく長い棒の部分)に結合して古典経路を活性化させる.MBLはClqと似た構造を持ち,Clqと同様に細菌膜上のマンノース残基に結合して,オプソニン化を促進し,さらにC4とC2を分解する酵素を活性化してレクチン経路を活性化する(図1).微生物感染2日前後に起こる急性期反応によって産生されるCRPとMBLは,細菌に対する非特異的な防御であり,補体と共同で適応免疫が始まるまで抗体に代わって宿主を保護する働きをする.
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