絵で見る免疫学 基礎編・31
補体(2)
高木 淳
1
,
玉井 一
2
1ダイナボット(株)器機診断薬事業部
2栄光病院
pp.648-649
発行日 2002年7月1日
Published Date 2002/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906238
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4.膜強襲複合体の形成(前号よりの続き)
C4b-C2b複合体とC3b-Bb複合体はC3転換酵素であるが(第30巻6号本欄),これら複合体にC3bを結合したC4b-C2b-C3bおよびC3b-Bb-C3b複合体はC5転換酵素で,C5をC5aとC5bに分解する.C5bはC6およびC7を結合し,C7は細菌膜の脂質二重層に挿入する.さらにこの複合体にC8が結合して膜内に埋め込まれる.この複合体にC9が次々に結合して筒状の膜強襲複合体(membrane-attack complex;MAC)を形成して細菌膜に孔(内径約10nm)を開ける.この孔から水や塩類や酵素類が細菌内に侵入し細菌は破壊される(図1).この細菌の傷害機構は細胞傷害性T細胞が標的細胞を傷害するときに細胞に孔をあけてパーフォリンを放出して破壊する機構に似ており,C9はパーフォリンと構造的に類似した分子である(第29巻1号本欄).この細菌の破壊現象は劇的であるが,一連の補体系の宿主防衛反応においてさほど頻繁に起こるものでないことがわかってきた.したがって,感染防御にかかわる補体系の主な働きは,C3bが中心的な役割を果たすオプソニン化とC5a,C3aおよびC4aによって誘導される炎症反応である.
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