絵で見る免疫学 基礎編・30
補体(1)
高木 淳
1
,
玉井 一
2
1ダイナボット(株)器機診断薬事業部
2栄光病院
pp.536-537
発行日 2002年6月1日
Published Date 2002/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906655
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補体は抗体による細菌の食作用や抗体の細菌破壊など,抗体分子の抗菌作用を補足することから補体と呼ばれた.補体は約20種類の異なる蛋白質から成り血液と細胞外液を循環している.その成分の大部分は,免疫応答や侵入した細菌によって活性化されるまでは不活性化状態にある.補体は1つの因子により活性化すると次々と連鎖反応が誘導され別の補体系蛋白質を次々と活性化する.一連の補体連鎖反応において,1つの前躯体蛋白質(C4,C2,C3など)から大きい断片(C4b,C2b,C3bなど)と小さな断片(C4a,C2a,C3aなど)の2つの断片が生じる.大きい断片は直接細菌の表面または細菌表面に結合している補体成分と結合し,次の蛋白分解過程に作用する.小さい断片は血中で炎症反応の伝達物質として作用する.
補体が活性化される経路には以下に述べる3通りあるがいずれもC3転換酵素を産生する.補体が活性化されると,細菌表面を覆い食細胞による食作用を促進し,食細胞の動員そして最終的には細菌表面に大きな補体複合体である膜強襲複合体(membrane-attack complex)を形成し細菌膜に孔を開けて殺す(図1).
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