トピックス
輸血検査の自動化
加藤 俊明
1
,
石丸 健
1
,
池田 久實
2
1北海道赤十字血液センター検査部
2北海道赤十字血液センター
pp.298-302
発行日 2001年3月1日
Published Date 2001/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905766
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■輸血検査の現状
マスコミなどで異型輸血が報じられるたびに,院内における輸血管理体制のありかたが厳しく問われている.厚生省は一昨年,最近の輸血療法の進歩と医療現場の現状などを踏まえ,11年ぶりに輸血療法法に関するガイドラインを改訂し,「輸血療法の実施に関する指針」として発表した1).これによると,血液型や交差適合試験を担当する検査技師の配置は24時間体制が望ましいと,人的体制の整備による輸血検査精度の向上を求めている.しかしながら,現実の医療環境を考えると,輸血検査部門における人的な補充は決して容易ではなく,いかにして現行人員で指針に基づく輸血検査の24時間体制に取り組むか,苦慮しているのが実情であろう.
従来より,輸血検査は他の臨床検査とは異なった專門性が要求されてきた.その原因の1つとして,輸血検査の手技に起因した問題点が上げられる.交差試験をはじめとして,輸血検査の多くが試験管内の微細な赤血球凝集反応を目視判定するものであり,その判定や解釈には知識と経験を要するため,日頃,輸血検査に携わらない技師にとって,輸血後,やり直しのきかない輸血検査は技術的にも精神的にも大きなストレスとなる.また,判定後の凝集像をそのまま保存できないことから,検査精度の信頼性を客観的に確認できないという点もある.このため,以前からこれらに対応した輸血検査の自動化と効率化が強く望まれてきた.
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