Japanese
English
特集 循環器疾患と遺伝子
高脂血症と遺伝子
Molecular Genetics or Hyperlipidemia
山本 章
1
,
山村 卓
2
,
三宅 康子
2
,
田嶋 正二
2,3
Akira Yamamoto
1
,
Taku Yamamura
2
,
Yasuko Miyake
2
,
Shoji Tajima
2,3
1国立循環器病センター研究所
2国立循環器病センター病因部
3大阪大学蛋白研究所
1National Cardiovascular Center Research Institute
2Department of Etiology and Pathogenesis, National Cardiovascular Center Research Institute
3Protein Research Institute, Osaka University
pp.225-232
発行日 1991年3月15日
Published Date 1991/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404900236
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リポ蛋白代謝高脂血症
血漿リポ蛋白は本来疎水性である脂質を腸管や肝臓から末梢組織へ,また末梢組織で余剰となったコレステロールを肝臓へと,体液を介して搬送する目的で作られた脂質と蛋白質の複合体である1).その蛋白質成分(アポリポ蛋白質=アポ蛋白と略)は,①リポ蛋白の構造を作るのに不可欠であったり(アポA-Ⅰ〜HDL,アポB〜カイロマイクロン,VLDL,LDL),②リポ蛋白の処理(回収)にあたる細胞表面のレセプターへの標的となる(アポB−100,アポE),③脂質水解酵素活性を賦活または修飾する(アポC-Ⅱ〜リポ蛋白リパーゼ=LpLと略,アポA-Ⅰ,C-Ⅰ〜レシチンコレステロールアシル基転移酵素=LCATと略)などの役目を果たしている(図1).
最近これらの血漿リポ蛋白代謝に関与する諸因子(アポ蛋白,リポ蛋白レセプター,LpLなどの脂質水解酵素あるいは脂質転移作用をもつ蛋白質)の構造や機能そして遺伝子(表1)が次々に解明され,これに伴って高脂血症の原因も,ある程度まで,分子,遺伝子のレベルで把握されるようになった.以下高脂血症の各タイプ別に解説を行うことにしたい.
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