増刊号 血液検査実践マニュアル
Part 1 総論
1.血液学の基礎知識
2)造血機能とその調節機構 a)赤血球系
坂田 亨
1
,
別所 正美
1
1埼玉医科大学第1内科
pp.640-642
発行日 2000年6月15日
Published Date 2000/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905404
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
赤血球は末梢血中に最も多く存在する血球で,その中に含まれているヘモグロビンによって,酸素と二酸化炭素の運搬を行っている.赤血球の寿命は約120日と有限なものであるが,血液中の赤血球数は生涯にわたってほぼ一定に維持されている.これは寿命によって失われた分に相当する赤血球が絶えず産生されているからであり,健常人の場合,毎時1010個という膨大な数がターンオーバーしているといわれる.また,生体内ではこのような定常状態における造血だけではなく,出血などのアクシデントに対する反応としての造血も必要に応じて行われる.このような赤血球産生システムが長期間にわたって秩序正しく機能し続けるには,赤血球の産生をコントロールする巧妙なメカニズムが存在しているものと考えられる.
本稿では造血幹細胞から赤血球への増殖・分化機構と,これに関連する造血因子について述べる.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.