増刊号 血液検査実践マニュアル
Part 1 総論
1.血液学の基礎知識
1)血球の分化・成熟過程
長井 一浩
1
,
栗山 一孝
1
1長崎大学医学部原爆後障害医学研究施設分子医療部門分子治療研究分野
pp.636-639
発行日 2000年6月15日
Published Date 2000/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905403
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はじめに
生理的な状態において,体内循環血中の血液細胞はほぼ一定の量に保たれている.各系統の血球はその寿命を全うするか,なんらかの要因で消費されることによって,日々おびただしい数が壊されている.その一方で,骨髄において新たな血液細胞の増殖・分化・成熟が巧妙に調節・維持されていることによって,この恒常性が生涯にわたり保たれているのである.
本稿では,骨髄における造血機構を,造血幹細胞(hematopoietic stem cell;HSC)を頂点とする造血システムととらえる視点から概説する.
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