今月の主題 検査異常から考える血液疾患
血液について知っておくべき基礎知識
赤血球系
堀田 知光
1
1東海大学医学部血液リウマチ内科
pp.560-561
発行日 1999年4月10日
Published Date 1999/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905968
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●赤血球の産生は,骨髄の多能性幹細胞から赤芽球前駆細胞を経て赤芽球となり,さらに分裂を経て網赤血球に成熟する.赤芽球前駆細胞から赤血球に至る過程にはエリスロポエチンの存在が必須である.
●ヘム合成は,ミトコンドリアにおいてグリシンとサクシニルCoAの重合によるδアミノレブリン酸の生成に始まる.この反応を触媒するδアミノレブリン酸合成酵素は,ヘム合成系の律速因子となっている.
●健常成人の体内総鉄量3.0〜4.0gのうち,約70%はヘモグロビン鉄,約25%はフェリチンやヘモジデリンなどの貯蔵鉄,その他少量がミオグロビンや含鉄酵素など組織鉄の形で存在し,運搬鉄としてのトランスフェリン鉄の比率は0.1%以下である.
●鉄は消化管や皮膚の上皮細胞の脱落により便や汗として1日約1mgが失われ,一方で,食物中に含まれる1日約10〜20mgのうち約1mgが小腸上部で吸収される.
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