第38回日本生理学会シンポジウム総括報告
(2)赤血球の構造と機能
簑島 高
1
1東京女子医科大学第一生理学教室
pp.169-172
発行日 1961年8月15日
Published Date 1961/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425906192
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私はシンポジウムBの座長を致しましたので,その報告を致します。これは七つの演題と舟木助教授の解説口演から成つて居りますが,以上をまとめて報告申上げます。
解説口演者舟木助教授は皆様ご存知のように,多年赤血球の形と機能と構造に関して詳細に研究されているのでございます。赤血球は酸素を内に取り入れて,他の組織にこれを供給するもので,その形と酸素の赤血球内部への拡散との間に一定の関係のあることを既にE. Ponder(1925)が試みて居りますが,舟木助教授は更にPonderの式を拡張し一般化して脊椎動物の赤血球の形態は直角座標で次の様に表わされることを証明したのであります。即ち(x2+y2+a2)2-4a2x2=c4,(aは二つの固定点の距離の2倍,cはパラメーターを表わす)。これはCassiniのovalといわれ,脊椎動物の赤血球の形態はこのa/cの小さい方から大きい方へ系統発生的に変化して行くのでありまして,円口類ではa/cが小さく,円に近く,鳥類ではこれが大きく,楕円となつています。また,哺乳動物の赤血球は大部分双凹円板状でa/cは最大を示すものであります。更に各脊椎動物の発生後の存続年限とa/cとの関係は大体直線的であると述べて居ります。
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