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脳波による覚醒度定量評価の試み
齋藤 正己
1
,
萩原 啓
2
,
荒木 和典
2
,
道盛 章弘
2
1関西医科大学
2松下電工(株)電器開発研究所
pp.984-988
発行日 1997年10月1日
Published Date 1997/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903259
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はじめに
ヒトの意識は原則的に2つの様態,覚醒と睡眠とを繰り返している.睡眠に関してはRechtschafen & Kalesによる深度の分類が広く用いられているが,覚醒に関しては,いくつかの提案こそなされているが,広く受け入れられている尺度はない.これは臨床脳波の研究が主として医学的な見地を中心に進められてきたため,定義することさえ困難な意識そのもの,あるいは覚識について,客観的・定量的評価が困難であることもあって,関心はもっぱら睡眠とか意識障害に向けられてきた.
筆者らは覚醒度の評価根拠としてα波の変動を指標とした.その理由は今さら言う必要もなかろう.具体的には閉眼安静時のα波出現量と開眼によるその減衰が,個体の覚醒水準に対応して変化する性質を利用した.すなわち,安静状態で脳波記録中に,閉眼と開眼を反復することによって生じるα波出現量の変動の数値指標化のためにa波減衰試験(alpha attenuation test;AAT)を案出したのである.AATは開閉眼時におけるα波成分の平均パワー比であり,評価者間(inter-rater)あるいは評価者内(intra-rater)の変動要因の介入がない評価指数であるからといえる.
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