特集 今日の耳鼻咽喉科
日常診療に必要な知識
治療方法
癌免疫療法の現状
犬山 征夫
1
1慶応義塾大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.851-855
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208978
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I.はじめに
癌の治療は従来,手術,放射線,化学療法が中心をなしてきたが,最近第4の治療法として免疫療法が注目されている。しかしながら癌免疫療法の歴史は意外に古く,すでに今世紀の初めに感染症に対する免疫と同じような考え力に基づいて癌のワクチン療法,血清療法が行なわれたが十分な治療効果をあげるに至らず,その後はあまり顧みられなかつた。一方,近年における免疫生物学,免疫化学,免疫遺伝学,免疫病理学などの発展は著しいものがあり,これに伴つて腫瘍免疫の研究も盛んに行なわれるようになり,癌免疫療法も再び脚光をあびるようになつた。すなわち1969年にMathéが急性白血病患者に,1970年にはMortonが悪性黒色腫患者にBCG療法により寛解期間の延長または延命効果を認めたと報告して以来,急速にBCGをはじめとする非特異的免疫療法が臨床に導入されはじめた。そこで本稿においては癌免疫療法の現況を概説するとともに頭頸部癌に対する免疫療法の実際につき述べることにする。
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