臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集
IX.免疫・アレルギー疾患
3.免疫異常の治療
免疫抑制療法の効果
螺良 英郎
1
1徳島大第3内科
pp.2180-2181
発行日 1978年12月5日
Published Date 1978/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208299
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免疫抑制療法とは—現状からみた批判
免疫抑制療法とは免疫抑制を招く因子を利用して治療をはかる方法である.免疫能の抑制をきたす因子には,広い意味では種々の薬剤や方法が入っている.すなわち,抗炎症剤や副腎皮質ホルモン剤も,また胸腺切除や胸管ドレナージも,広義の免疫抑制療法に加えてもよいが,実際には,サイクロホスファミドやアザチオプリンなどの化学的免疫抑制剤による治療に限って免疫抑制療法とよんでいる.本治療法の対象となる疾患は結合織病(膠原病)が主であるが,その他の自己免疫疾患群も含まれる.別に外科的領域では,臓器移植後の拒絶反応の抑制にも用いられている.
免疫抑制療法の終極目標は難治である結合織病をはじめ自己免疫疾患群にあって,病因となる免疫学的機序を免疫抑制剤でもって是正することにより治療を計るものであって,病因に対する根治療法ともいえるものである.しかし実際には,これら自己免疫疾患群における免疫学的な病因論が確立されておらず,また免疫病態についても漸く一部が明らかになってきた段階であるので,目下のところは,ただ免疫抑制剤による臨床効果の上からその作用機作を推察しているにすぎない.
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