技術解説
ヘモグロビンの定量法
角田 信子
1
SUMITA NOBUKO
1
1日本医科大学生化学教室
pp.345-352
発行日 1963年5月15日
Published Date 1963/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906115
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はじめに
溶血を伴わないかぎり,ヘモグロビンはすべて赤血球中にある。従って通常臨床的にヘモグロビンを測定するには,血液溶血液をそのまま使う。特別の場合には,先ず赤血球を集めて,生理的食塩水で洗った後に改めて溶血して測定の対象とすることもある。
通常測定の対象となるヘモグロビンおよびその誘導体は,還元ヘモグロビン(Hb),酸素ヘモグロビン(HbO2),メトヘモグロビン(met HbあるいはHi),一酸化炭素ヘモグロビン(HbCO)などである。まれには特殊な中毒の場合にスルフヘモグロビン(SHb)が問題になることもある。これらの中で生理的なはたらきを行なっているものはヘモグロビンと酸素ヘモグロビンとである。大気の酸素分圧157mmHgでは,ヘモグロビンの100%近くがHbO2の状態にある。メトヘモグロビンは正常血液中にも0.0〜2.4%ぐらい1)は含まれているが,これが病的に増加するのは本態性メトヘモグロビン血症の場合,あるいはフェナセチン,アセチルサリチル酸2),スルホンアミド等3)〜11)の薬物投与,または芳香族ニトロ化合物,芳香族アミノ化合物等12)〜14)による中毒の場合である。
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