増刊号 尿検査法
II.各論
20.生理活性物質
(2)カリクレイン
木付 和幸
1
1東京理科大学薬学部薬学科
pp.244-245
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901136
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はじめに
これまでに,尿中カリクレイン排泄量測定による各種病態解析を試みた多くの研究がある.しかし,本態性高血圧症患者では尿中カリクレイン排泄量が減少しており,バーター症候群,原発性アルドステロン症患者では排泄量が増えているなどの例が知られているが,尿中カリクレイン排泄と特定の疾病との関連が明確になっているものは,きわめてまれである.
尿カリクレインの大部分は,腎臓で産生されるカリクレインの一部が尿中に排泄されているものと考えられる.しかし,血中には微量ではあるが組織性カリクレインが分泌されて存在しており,尿カリクレインの一部はこの組織性カリクレインが腎臓で濾過されて排泄されているとみることもできる1).また,尿中には,プロカリクレインが排泄されており,活性型とプロ体との比率は,1:2〜4で,プロ体のほうが多い.従来,尿中排泄カリクレインの測定は,主に活性型だけを測定してきたが,このプロカリクレインをどう評価するかが,今後の問題となる.
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