特集 ホルモンと生理活性物質
各論
14.カリクレイン―キニン―プロスタグランジン系
1)カリクレイン,キニン
島本 和明
1
,
野村 直人
1
,
浦 信行
1
Kazuaki SHIMAMOTO
1
,
Naoto NOMURA
1
,
Nobuyuki URA
1
1札幌医科大学第2内科
pp.249-251
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902243
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生合成・分泌・機能
1,生合成・分泌
カリクレイン(kallikrein)は,前駆物質であるプロカリクレインから生成される酵素で,基質キニノゲンに作用して本系の生物活性物質であるキニンを産生する.キニンは破壊酵素であるキニナーゼI,キニナーゼII,そして近年発見されたニュートラルエンドペプチダーゼ24.11(NEP)により不活性化される(図1).
カリクレインには,酵素学的・生化学的にまったく異なる血漿カリクレインと腺性カリクレインがあり,前者は主に線溶・凝固系に関与し,循環血液中で急速に不活化される.後者は血中以外にも腎,唾液腺,膵などに広く存在し,これら諸臓器機能に関与していると考えられる.また,腺性カリクレインは,α1―プロテアーゼインヒビターにより緩徐に不活化され,このことから,血液中のキニン(kinin)の由来は血管壁などの腺性カリクレインにより生成されたキニンが主体をなすものと考えられる.
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