増刊号 尿検査法
II.各論
18.結石
結石
高崎 悦司
1
1獨協医科大学泌尿器科
pp.188-193
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901114
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はじめに
尿路結石は尿中に排泄される晶質が析出した凝固物(concrement)であり,これが形成される機序の詳細は十分にわかっていないが,まず結石形成の核となる原基(stone embryo)があり,これに尿中に過飽和に存在する晶質が析出して成長および凝集し(crystal nucleation,growth and aggregation),この結果として結石という病態を生ずる.結石形成の原基にはいろいろな仮説があり,また尿中に剥離した上皮や細菌なども原基になりうると考えられる.一方,尿中に通常でも過飽和に存在する晶質が,普通では析出凝固して結石にならないのは,ひとつには良好な尿の流れにより析出する時間を与えないことと,ほかには尿中に結石形成を阻止する因子(inhibitor)があるためとされる.
近年,体外衝撃波砕石術の発達により,以前より格段に結石治療が容易になったが,破砕小片の残留による結石再発率の増加が懸念される.また,結石のなかで尿酸とシスチンは衝撃波により破砕しがたいが,この両者は薬物による溶解縮小の可能性があり,結石の化学的組成を知り,結石形成を促進している要因を求めて,治療や予防の方策を定めるのが重要となる.各種尿路結石の形状を一括して表1に示す.
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